奇抜なアイディアを生み出す!?ディレクターの思考整理術【テンプレート付き】
毎日、何気なく目にする動画広告。その多くはテンプレートで作られたかのようなありきたりなものばっかり…。
しかし、ごくたまに「ナンジャコリャ!?!?!?」と思うような奇抜で意味不明にも関わらず、目が離せない魅力的な動画に出会う事があります。そんな時、私はその構成を考えたディレクターの思考回路と、それを採用した企業に度肝を抜かれてしまいます。
試される柔軟な発想と提案力
これは2021年に入り、某SNSで見かけた動画広告のひとつ。
You Tubeのコメント欄には
「開始3秒から笑いが止まらない」
「久しぶりにスキップしなかったわこのCM」
「ひっさしぶりにCMで何かを買おうと思った。」
などの好意的なコメントで溢れかえっていました。
テレビCMと違い、Web広告はターゲティングが出来るため費用対効果が望める反面、簡単にスキップされてしまうというデメリットがあるのは、もはや常識。
しかし、この動画広告は開始3秒で視聴者の心を掴み、最後までCMを視聴させ、見事に購買意欲を刺激することに成功しています。これぞまさにディレクターの狙い通りだったでしょう。
しかし、私が一番すごい!と感じたのは、この奇抜なCMを企業側にGOと言わせたディレクターの提案力!!一見、ただ面白い動画広告のようですが、その背景には「企業ブランドやイメージも守らなければならない」といった大きな壁が生じるもの。結果として成功したわけですが、企業にとっては大きな賭けだったのではないでしょうか。それをGOと言わせたディレクターの提案力こそが、真の腕の見せ所だと思っています。
アイディアを生み出すマンダラチャート式思考整理術
さて、前置きが長くなりましたが、ディレクターにとって大切なのはクライアントの意向に寄り添い、本質を見抜き、あらゆる角度から物事を見て提案することだと心得ております。今回は、そんな時に使えるアイディア出しの方法を紹介しよう。
マンダラチャートとは?
マンダラチャートとは、3✕3の9マスを更に9マス並べたもので、曼荼羅(マンダラ)に似ていることから、その名前の由来とされています。かつて野球の大谷翔平選手が、投手と野手の二刀流として「怪物」と言われるまでに成長した際に用いられた「目標達成シート」として活用されたものですね。
目標達成シートの役割は
- 目標を明確にし
- 目標を達成するための手段をあげ
- コミットすべき事項を洗い出す
ものとして活用されていますが、実はこれがアイディア出しや思考整理にも使えるんです!!
ステップ1:ゴールを決める
まず、3✕3の9マスを1ブロックとし、それを更に3✕3の9ブロック並べます。その一番中央にくるマス(赤マス)に達成すべきゴールを記入します。ここで言う達成すべきゴールとは、いわゆるクライアントが求める結果のことです。
注意すべきは、動画は手段であって目的では無いということ。動画がいかに視聴されるかではなく、動画を使ってクライアントがどんな問題を解決したいのか?そこをしっかり見抜き、ゴールを設定しましょう。
またゴールを「見える化」しておくことで、最後まで思考がブレることなくアイディアを練ることができます。
ステップ2:解決策をあげる

次に、ゴールのまわりを囲んだ8マスに、ゴールを達成するための解決策を上げていきます。ここでは動画だけにこだわらず、あらゆる視点から解決策を上げていきましょう。なぜなら、この時点で動画だけに限ってしまうと、一気に視界が狭くなりありきたりなアイディアしか生まれなくなってしまうためです。
例えば「プレスリリースをうつ」「新商品の開発」の他にも「スタッフのモチベーションを上げる」など、ゴールを達成するために必要だと思う要素はどんどん上げていきましょう。
ステップ3:具体策を考える

つづいて、一つの解決策に対し、さらに具体的な対策を考えていきます。
記入の仕方は「ステップ2」と同様です。
上記の図で説明すると、中央のブロックが「ステップ2」で行った工程です。「ステップ2」ブロックを囲むように、隣接した8つのブロックに、各解決策が紐付けされているという仕組みです(わかりやすく色分けしてみました)。
「ステップ2」と同じく、各解決策に対し具体的な行動を書出してみましょう(白マス)。
ステップ4:優先順位の高いものと、掛け算したら面白いもの
一通りアイディアを絞り出したら、改めてゴールと見比べながら、優先度の高いものやすぐに着手できそうな具体策にチェックしておきます。
そしていよいよここからアイディアを練っていきます!
複数ある具体策の中で「これとこれを掛け合わせたら、面白いな」「これとこのアイディアを合わせたて、こんなコンセプトにしたらどうだろう?」など、アイディアをふくらませて見ましょう。この時初めて動画という目線を加えて行きます。その際、ゴールや優先順位を意識しながら考えるのがポイントです。
多角的視点から具体策を出しているため、今まで頭の中だけでは見えてこなかったアイディアが見えてくる…かもしれません。
この作業を行うことにより、動画を作る際の「主観」や「自己満」といった自分よがりの作品ではなく、常にクライアントの意向とゴールを意識したアイディアへと膨らますことができます。
仮に奇抜なアイディアが生まれたとしても、その狙いや見込める効果が説明出来るので、圧倒的に説得力が上がるというわけです。(しかし、相手がそれで納得行くかどうかはまた別の話です。笑)
テンプレートのダウンロード
動画では、例題をもとにマンダラチャートの使い方をさらに詳しく説明している(つもり)なので、よければこちらも是非ご覧ください。
また、Googleスプレッドシートでも使えるテンプレートも無料配布しているので、ご活用頂ければ嬉しいです。
それではまた、次回まで。
さよなら、さよなら、さよなら。